
【仕様】
四六判上製、398頁
ISBN 9784000615662
Cコード 0098
【概要】
ジョージ・オーウェルが一九三六年に植えた薔薇の生き残りとの出会いから、見過ごされてきた彼の庭への情熱に光をあて、精神の源を探るソルニット。豊かな思索の旅は、オーウェルの人生とその時代から、化石燃料としての石炭、帝国主義や社会主義と自然、花と抵抗をめぐる考察、薔薇産業のルポ等を経て、未来への問いへと続く。
【目次】
Ⅰ 預言者とハリネズミ
1 死者の日
2 フラワー・パワー
3 ライラックとナチス
Ⅱ 地下にもぐる
1 煙、頁岩、氷、泥、灰
2 石炭紀
3 闇のなか
Ⅲ パンと薔薇
1 薔薇と革命
2 私たちは薔薇を求めてもたたかう
3 讃えるもの
4 バタートースト
5 昨日の最後の花薔薇
Ⅳ スターリンのレモン
1 燧石の小路
2 噓の帝国
3 レモンを強いること
Ⅴ 隠棲と攻撃
1 囲われた土地
2 上流階級
3 砂糖と芥子とチーク材
4 オールドブラッシュ
5 悪の華
Ⅵ 薔薇の値段
1 美の問題
2 薔薇工場にて
3 水晶の精神
4 薔薇の醜さ
5 雪と墨
Ⅶ オーウェル川
1 喜ばしきことどもの明細目録
2 「ローズヒップと薔薇の花」
3 オーウェル川
謝 辞
訳者解説1 『オーウェルの薔薇』と自然の主題
訳者解説2 そぞろ歩きの「オーウェル風」
写真クレジット
注
索引
【著者】
レベッカ・ソルニット(Rebecca Solnit)
1961年生まれ.作家,歴史家,アクティヴィスト.カリフォルニアに育ち,環境問題や人権,反戦などの運動に参加,1988年より文筆活動を始める.『定本 災害ユートピア』(高月園子訳,亜紀書房),『ウォークス』『迷うことについて』『私のいない部屋』(東辻賢治郎訳,左右社),『説教したがる男たち』『わたしたちが沈黙させられるいくつかの問い』(ハーン小路恭子訳,左右社),『それを,真の名で呼ぶならば』(渡辺由佳里訳,岩波書店)ほか著書多数.
【訳者】
川端康雄(かわばた やすお)
日本女子大学文学部教授.専門はイギリス文学,イギリス文化研究.著書に『『動物農場』ことば・政治・歌』『葉蘭をめぐる冒険』(みすず書房),『ジョージ・オーウェル』(岩波新書),『増補 オーウェルのマザー・グース』(岩波現代文庫),『オーウェル『一九八四年』』(慶應義塾大学出版会)ほか.訳書にオーウェル『動物農場 ― おとぎばなし』(岩波文庫),『オーウェル評論集』全4巻(編・共訳,平凡社ライブラリー)ほか.
ハーン小路恭子(ハーン しょうじ きょうこ)
専修大学准教授.専門は 20 世紀以降のアメリカ文学,アメリカ文化研究.訳書にソルニット『説教したがる男たち』『わたしたちが沈黙させられるいくつかの問い』(左右社)ほか.