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E. H. カー『歴史とは何か 新版』(近藤和彦訳、岩波書店、2022年)

¥2,640 税込

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【仕様】 ISBN 9784000256742 Cコード 0020 四六判並製 410頁 【内容】 「過去は現在の光に照らされて初めて知覚できるようになり、現在は過去の光に照らされて初めて十分理解できるようになるのです」。歴史学への最良の入門書を全面新訳。未完に終わった第二版への序文、自叙伝、丁寧な訳注や解説などを加える。達意の訳文によって、知的刺激と笑いに満ちた名講義が、いま鮮やかによみがえる。 ■内容紹介  歴史は現在と過去のあいだの対話である――。この有名なフレーズで知られる本書は、E. H. カーが1961年にケインブリッジ大学でおこなった6回の講義がもとになっている。事実と解釈、歴史と科学、歴史における因果連関、歴史と客観性、進歩としての歴史など、歴史を考えるうえで最も重要なテーマが盛り込まれており、歴史学の最良の入門書、20世紀の古典であるといってよい。  カーは、生前に第2版を準備していたが、序文のみに終わった。本書は、これまで清水幾太郎氏の翻訳で親しまれてきた初版の本文を新たに訳出し、第2版への序文、残されたメモから未完の第2版の内容を復元したR. W. デイヴィスによる論考、晩年のカーによる自叙伝、略年譜などを加えたものである。訳者による懇切な訳註と解説が、理解を手助けしてくれるだろう。  本書には、歴史と歴史学をめぐる印象深いフレーズがふんだんに盛り込まれている。  「歴史家の解釈とは別に、歴史的事実のかたい芯が客観的に独立して存在するといった信念は、途方もない誤謬です。ですが、根絶するのがじつに難しい誤謬です。」  「過去は現在の光に照らされて初めて知覚できるようになり、現在は過去の光に照らされて初めて十分に理解できるようになるのです。」  「本気の歴史家であれば、すべての価値観は歴史的に制約されていると認識していますので、自分の価値観が歴史をこえた客観性を有するなどとは申しません。自身の信念、みずからの判断基準といったものは歴史の一部分であり、人間の行動の他の局面と同様に、歴史的研究の対象となりえます。」  「ちょうど無限の事実の大海原からその目的にかなうものを選択するのと同じように、歴史家は数多の因果の連鎖から歴史的に意義あることを、それだけを抽出します。」  「歴史家にとって進歩の終点はいまだ未完成です。それはまだはるかに遠い極にあり、それを指し示す星は、わたしたちが歩を先に進めてようやく視界に入ってくるのです。だからといってその重要性は減じるわけではなく、方位磁石(コンパス)は価値ある、じつに不可欠の道案内です。」  知的刺激とニュアンスに富み、笑いに満ちあふれた名講義が、達意の訳文と訳註によって、鮮やかによみがえる。 【目次】 はじめに(R.W.デイヴィス) 第二版への序文 第一講 歴史家とその事実 第二講 社会と個人 第三講 歴史・科学・倫理 第四講 歴史における因果連関 第五講 進歩としての歴史 第六講 地平の広がり E.H.カー文書より――第二版のための草稿(R.W.デイヴィス) 自叙伝 補註 訳者解説 略年譜 索引 【著者紹介】 E. H. カー(E. H. Carr) 1892年生まれ。イギリスの歴史家・国際政治学者。ケインブリッジ大学卒業後、20年間の外務省勤務を経て、ウェールズ大学教授。第二次世界大戦中には、ザ・タイムズ紙の社説を執筆。1955年よりケインブリッジ大学トリニティ学寮上級フェロー(終身)としてライフワークの『ソヴィエト=ロシアの歴史』(全10巻)に取り組む。『危機の二十年――理想と現実』(岩波文庫)、『ロシア革命』(岩波現代文庫)をはじめ著書多数。 【訳者紹介】 近藤和彦(こんどう かずひこ) 1947年生まれ。東京大学文学部西洋史学専修課程卒業。名古屋大学助教授、東京大学大学院教授、立正大学教授を経て、現在、東京大学名誉教授、王立歴史学会フェロー。専攻は、イギリス近世・近代史。著書に『民のモラル』(山川出版社、ちくま学芸文庫)、『文明の表象 英国』(山川出版社)、『イギリス史10講』(岩波新書)、『近世ヨーロッパ』(山川出版社・世界史リブレット)ほか多数。訳書に、トムスン/デイヴィス/ギンズブルグ他『歴史家たち』(編訳、名古屋大学出版会)ほか。